パーソナルロゴにSNS上で話題が集まる
2016年に行われる米国大統領選を控え、先月ヒラリー・クリントン氏が民主党候補者の座をかけて出馬を表明しました。そして早くも選挙キャンペーンの一環としてデザインされた同氏のロゴがネット上でちょっとした「祭り」状態になるほど反響を呼んでいるようです。
その反響の多くは、
・「まるで病院₍Hospital₎の交通標識のようだ」
・「₍左寄りの₎民主党なのに矢印が右に向いている」
など揶揄に近いものも含まれていますが、特にSNS上でこのヒラリー・クリントンのパーソナルロゴが頻繁に取り沙汰されていることには違いなく、「ヒラリー・クリントンが次期大統領選に出馬する」というメッセージを広く認知させたという意味では大成功と言えるかもしれません。
現在のオバマ大統領も前回の大統領選ではアルファベットの「O」の文字を基調としたパーソナルロゴを制作し、一連の選挙キャンペーンを展開していました。
もしかすると今後米大統領選ではこうしたパーソナルロゴの活用が定番となっていくかもしれません。また日本の政治家の間でも選挙の際に、他の候補者と差別化を図りつつ投票者に名前を覚えてもらうために、こうしたパーソナルロゴをデザインする候補者が今後見られる可能性がありそうです。
しかし調べてみると、こうしたパーソナルロゴの活用はなにも政治家の間だけで行われる特殊なブランディング方法ではないようです。政治家と同様にその人の「パーソナリティ」が事業やサービスの前面に出る場合、こうしたパーソナルロゴを活用するケースが多く見られました。
中には「こんな職種まで?」と意外に思うようなものも含まれていますが、「パーソナルブランディング」を考える際、このパーソナルロゴは企業ロゴと同様に重要な役割を果たしてくれそうです。
さまざまなパーソナルロゴ事例
■ノラ・ジョーンズ|ミュージシャン
日本でもおなじみのジャズ・シンガー/ジャズ・ピアニストです。イニシャルの「N」と「J」が立体的に組み合わされつつ、モノトーンでピアノの鍵盤をイメージしたようなパーソナルロゴになっています。
■ラジェッシュ・マハラ|開業医
医者らしく赤十字をデザインに組み込んだパーソナルロゴです。パステルカラーのグリーン系の色彩でロゴタイプをデザインしており、現代的でかつ安心感を抱く印象に仕上がっています。
■フィリップ・ゲルトナー|シェフ
名字である「G」にフォークをあしらったパーソナルロゴです。一目でこの人物がシェフであることがわかりますし、またゴールドの色調も高級感を感じさせるロゴデザインになっています。
■スーザン・ライリー|キャンドルアーティスト
イニシャルである「S」と「R」の組み合わせにキャンドルをあしらったパーソナルロゴです。こちらもこの人物の職業を一目でわかるようにデザインされています。またロゴタイプ部のフォントもキャンドルに灯された炎の幻想的な印象を醸し出すかのようです。
■シンディ・ヘイル|不動産仲介業
不動産仲介業でここまでパーソナリティを前面に押し出す例も日本では珍しいですが、ポップな家の屋根とリボンをデザインに取り込んだ上図のパーソナルロゴは「親近感」を強く覚える印象になっています。
これまで見てきたように、いずれのパーソナルロゴもその人の仕事と密接な関わりをもってデザインされていることがわかります。この例の他に、各種デザイナー、弁護士などの士業、コンサルタント、エンジニアなどのパーソナルロゴが見られ、技術性/専門性の高い業種では幅広く活用されていることがわかります。
独立開業をされている専門職の方はこのパーソナルロゴの活用を考えられてみてはいかがでしょうか?まして日本には名刺文化が幅広く定着しています。退屈な名刺よりも目に楽しいパーソナルロゴがデザインされた名刺を受取った人に残るインパクトは小さくないはずですから。
今回のまとめ
- 企業ロゴだけでなくパーソナルロゴもブランディング戦略に活用できる
- その人の「仕事」を基調にしたロゴデザインが主流
- 意外な職種でも技術性/専門性の高い分野はパーソナルロゴの活用法あり!